事業計画書

団体名・浅間山ミュージアム
代表者名・飯田宏朗
所在地・〒377-1613
群馬県吾妻郡嬬恋村大笹2191-33
TEL 0279-96-1600   FAX 0279-96-1688

事業タイプ 2

事業目的 

インタープリテーションプログラムを作製する

事業の概要

時期

・4月〜3月末まで

場所

・浅間山周辺および天明泥流の被害地

内容

・下記参照

なぜインタープリテーションプログラムが必要なのか?

 浅間山ミュージアムでは、群馬大学早川由紀夫教授の御指導のもとに、浅間山について、いろいろ教わってきました(月刊観光掲載『明るく楽しい浅間山学習会について』を参照)。それは、知識ではなく、フィールドワークの実際であり、地球の推理の仕方でした。しかし、教わったことを文字にすれば、2〜3行で終わってしまうほどの、わずかな知識でしかありません。つまり、増えた知識そのものは大した量は、ありませんでした。

 しかし、知識の量はともかくとして、どういう検証を受けてなりたっていったか?というフィールド調査の面白さに私たちは感銘してしまいました。そこで文化庁が公募していた私の旅百選に、嬬恋村グリーンツーリズム火山体験プログラムを応募し、文化庁から賞状を頂いています。

 さて、この火山体験プログラムですが、火山に限りません。文化・歴史・民俗・風土、すべてにインタープリテーションプログラムが適応されます。浅間山ミュージアムは、浅間山全体を博物館とみたてて、地域全体を博物館にすることを目的としていますが、そのためには、浅間山周辺地域の価値を、地域住民が再発見していく必要があります。そのためには、研究者が書いた本や資料だけでは駄目で、浅間山周辺地域をインタープリテーションするためのプログラムとマニュアルが必要になってきます。



インタープリテーションプログラムとは、何か?

 インタープリテーション・プログラムとは、地域の自然や文化遺産、あるいは人々の生活などの特色や、そこに潜むおもしろさを、通訳してもらうことによって楽しむプログラムです。ここで誤解してほしくないのは、この通訳とガイドとは全く違うということです。

「この植物はなんていう名前ですか?」

と質問するとガイドさんは

「スミレです」

と答えてはくれますが、決してスミレについて通訳してくれるわけではありません。名前は教えてくれても、その植物の生態に関する知識を披露してくれても通訳してくれるわけではありません。だからこそ、インタープリテーションプログラムが必要です。インタープリテーションとは、自然などについての知識そのものを伝えるだけでなく、その裏側にある“メッセージ”を伝える行為までが含まれています。



浅間山ミュージアムにおけるインタープリテーションプログラム

 浅間山周辺には、不思議な現象がいっぱいあります。謎だらけです。たとえば、千トンもある巨石が、道ばたにゴロゴロころがっていますが、それが何を意味するのか? どういう歴史をもつのか?を通約するのが、浅間山ミュージアムにおけるインタープリテーションです。



そのための調査活動

 浅間山ミュージアムは、浅間山周辺地域全体を博物館とするエコミュージアム構想に基づいて活動しています。地域そのものを博物館としているために、その地域を詳しく調査して、それを通約しなければなりません。そのために、調査が必要になってきます。その調査活動として、最低下記の調査(写真撮影と地域の特定と文献撮影)が必要になります。
1.地質の調査

  浅間山付近の調査を5回前後(東西南北と河口)
  吾妻川周辺の調査を5回前後(主に浅間石の調査−別紙参照)


2.天明3年噴火にまつわる文化財などの調査
  (できれば地質調査と同時に行う)

  湯引道跡(黒岩長左右衛門の事績調査)
  中井屋重兵衛関連調査
  天明3年噴火の記念碑調査(別紙参照)
  天明3年噴火の泥流跡調査(別紙参照)


3.古文書の翻訳と、現地調査結果の照らし合わせ

 天明3年の悲劇は多くの古文書に記録されているが、考古学の立場から、火山学の立場から、それぞれ見ると矛盾する点も多かった。古文書の記録を信用しない研究者も存在した。しかし、最近になって、その矛盾点が、徐々に解消されつつある。古文書の記録の裏がとれつつあるので、それらの照らし合わせを行うために、代表的な古文書を、わかりやすく現代語訳して、現地調査結果の照らし合わせたり、その意味するところを識者に問い合わせたりする必要がある。


4.浅間高原の危機的な文化財の調査

  田中平八別荘
  北軽井沢大学村別荘全体調査
  種苗センターの調査


5.鉱山跡関連の調査

  小串鉱山跡
  吾妻鉱山跡
  石津鉱山跡
  ろう石山鉱山跡
  各索道跡・草軽鉄道廃線跡・信越線アブト廃線調査


6.その他
  世界発の地対空ミサイル噴流の発射台調査
  火山レース跡地調査
  囚人道調査
  旧登山道調査
  嬬恋村と長野原町の旧民家の調査撮影(できる範囲で行う)
 これらの調査結果を、非公開ホームーページに保存し、必要に応じてプリントアウトし、報告書としたり、学習会を行うためのテキストにしたり、インタープリテーションプログラムのためのヒントブックを作るための参考資料にします。また、必要に応じて浅間山ミュージアムのホームーページにも公表し、浅間山のエコミュージアムの見学施設としてホームーページで全国に紹介します。現段階では、ほとんどが、観光にも生かされず、史跡保存もされず、研究者以外には、誰にも知られることなく、ひっそりと、存在しています。これらにスポットをあてます。



インタープリテーションプログラムを行うためのマニュアル製作

 インタープリテーション・プログラムとは、地域の自然や文化遺産、あるいは人々の生活などの特色や、そこに潜むおもしろさを、通訳してもらうことによって楽しむプログラムです。ですから、調査結果を紙に書くだけでは、何の意味もありません。調査結果から、そこに潜むおもしろさを、いろいろと引き出さなければなりません。

 その引き出し方を、いろいろ検討しながら、どのようにしたら、万人の知的好奇心をそそり、地域住民や観光客の関心を引くか、戦略をねらなければなりません。そのためには、さまざまな角度から、人々の知的好奇心をくすぐるためのマニュアルをつくり、たとえば、あらかじめ100本くらい用意しておきます。その100本を引きだしとして準備しておいて、浅間山を案内するときに、どの引きだしを使うか?という選択を考えれるようにします。つまり、コーディネーターとして、それらの引きだしの選択のし方も重要になってきます。

 来年2月までに、そういったマニュアルを完成させ、その方面の大先輩である・キープ協会・ピッキオ・フォレスト&ウォーターなどから、できれば講師を招き、アドバイスをうけたうえで、浅間山ミュージアム特有のインタープリテーションプログラムを3月末までに完成させ、浅間山ミュージアム会員に発表したいと考えています。



どうしてインタープリテーションプログラムを行うためのマニュアルが必要なのか?

 浅間山ミュージアムでは、浅間山周辺地域を多くの人々に通訳してくれるエコミュージアムのための学芸員を大勢養成していきたいと考えています。そのためには、まず、地域住民の知的好奇心をくすぐるためのテキストが必要であり、正しく浅間山周辺地域を通訳できるようなプログラムが必要です。

 しかしながら、そういうプログラムは、皆無といっていいくらい前例がなく、参考になるものがほとんどありません。インタープリテーションという言葉は、いまやブーム現象となっており、全国、どこにでもインタープリターの名前をもつ人たちがおりますし、ピッキオや、キープ協会といったインタープリテーションを行う有名な団体もたくさんありますが、それらの団体の多くは、植物や野鳥といったものが題材のインタープリテーションプログラムであり、火山・歴史・地質を主にインタープリテーションの組み立てを行う団体は、いまのところ日本では皆無の状態で、参考になる団体がほとんどありません。ですから、浅間山ミュージアムが、本邦初の『地球を推理する』ためのインタープリテーションプログラムを開発して、地域に普及させていく必要があると考えました。

 このインタープリテーションプログラムを地域住民で制作していくことによって、地域住民の知的好奇心をくすぐり、最終的に、このインタープリテーションを郷土学習や観光などに生かして村おこしをしていくのが浅間山ミュージアムの目的です。

今後の計画

 インタープリテーションプログラムのための虎の巻を活用して地域学芸員を大勢養成していく。

事業実施に要する経費

別紙参照

事業完成予定

平成19年3月