軽井沢彫り

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軽井沢彫り

 今回は、80有余念の歴史を持つ軽井沢彫りに焦点をあててみたいと思います。見るだけでも美しい軽井沢彫りですが、その歴史を知ると、さらに軽井沢彫りの味わいが広がります。 日本全国、外国の名前がついた観光地や、なんとか村の類はたくさんあります。けれども、軽井沢がそういう観光地と大きく違っている点は、軽井沢が西洋の雰囲気を持つだけでなく、そこに、外国と関わってきた長い歴史があるからではないでしょうか。

軽井沢彫り 柴崎

〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢751-2
(旧軽井沢銀座通りの中心。郵便局から先4軒目、右側です)
TEL : 0267-42-2468 / FAX : 0267-42-9468


 旧軽銀座通りに面するシバザキ。創業昭和22年、軽井沢彫を手がけてすでに半世紀以上です。 美智子皇后陛下がご結婚の際の調度品にとお求めになられたのも、シバザキの手箱でした。皇太子殿下(当時)と出会われた思い出の地の品として、今もご愛用戴いておられるとか。

 店内には軽井沢彫の手箱、手鏡、宝石箱からテーブルウェアなどの什器類でいっぱい。ほとんどが一品製作のため、職人がお客様のご注文、ご要望を十二分に受けとめて、大きさ、飾りなど、ご希望に沿った家具を作っているそうです。


この人が、軽井沢彫りの組合長の柴崎さん。




大坂屋家具店

 明治の中期、避暑にやってきた外国人達が使っている、見慣れない西洋家具に目をつけた人物がいました。大坂屋家具店の初代店主、川崎己次郎です。川崎は日光から日光彫りの職人を招き、美しい彫刻をほどこした西洋家具(タンスやテーブル)を作り始めました。はじめは、日光彫りの影響から、牡丹や菊の一輪花彫りが多く彫られていました。が、新たなデザインを模索するうち、桜の木全体を彫った家具を販売すると、この日本的なデザインが外国人に大人気。そうして、桜は軽井沢彫りの代表的なモチーフとなりました。やはり、桜は今も昔も、日本を象徴する花なのですね。
大坂屋家具店の外観 軽井沢彫り

ハンドバック

 外国人が夏を軽井沢で過ごすようになった明治中期、当時の日本では珍しかった海外の生活様式がたくさん軽井沢に持ち込まれるようになりました。宗教、言葉、食事、スポーツ・・・。外国人との接触の中で、外国の商品や文化がそのまま輸入されることは、今でもよくあることですが、外国文化と日本の伝統技術が結びついて、新しい芸術が生まれるというのは、非常に珍しいパターンなのではないでしょうか。軽井沢において、西洋と東洋の、幸福な出会いがありました。それが軽井沢彫りです。
ハンドバック 軽井沢彫り


シュガーポット

シュガーポット 軽井沢彫り 軽井沢彫り家具の製造は、昔から、分業制がとられています。部材を加工し家具に組み立てるのは「木地師」の仕事。
「木地師」が組み立てた家具は一度分解され、彫りをほどこす部分は、「彫り師」に託されます。
 そして、彫り上げた木を「塗り師」が塗装・研磨し、最後に再び「木地師」が組み立てて製品にするのです。
 軽井沢彫りでもっとも難しい技術は「ひっかき」といわれる細い線彫りです。花びらの中のおしべや葉っぱの葉脈などを表現します。道具は特殊な彫刻刀を使い、手前に引っかくようにして彫ります。通常の彫刻刀は押し出して木を彫るので、普通と逆ですね。

桜模様

 仕上げの「星打ち」も軽井沢彫りの特徴の一つです。絵柄の背景に細かい点模様をほどこして絵柄をより際立たせるのです。
 ひっかきや星打ちによって、可憐な桜の花々を表現していきます。桜の樹木全体を題材とする大胆な絵柄でも、花びらの一つひとつは繊細な彫りで表現されるところが、軽井沢彫りの最大の魅力なのです。
桜模様 軽井沢彫り

自然木ベンチとタンス

  軽井沢彫りの家具は、釘をほとんど使わず、はめ込み式で作られています。このため、簡単に家具を分解して、海外に輸送することが可能でした。軽井沢で過ごした外国人達は、自国に持ち帰った軽井沢彫りの桜を見る度に、日本を想い出したことでしょう。 自然木ベンチとタンス 軽井沢彫り


サイドボード

 現在、旧軽銀座には、軽井沢彫りのお店が数件ありますが、軽井沢彫りを続けている彫り師は、現在10名ほどしかいないそうです。
 伝統を受け継ぐ職人達によって作られた家具は、欧米の生活様式で使いやすい形を持っている一方で、狂いのこない家具を作る日本古来の木工技術が生かされています。美しい桜が彫られたライティング・ビューローやテーブルなどは、ヨーロッパのアンティーク家具の雰囲気と、和の雰囲気が混ざり合って、重厚でいて、美しい存在感があります。和風でもない、洋風でもない、それは軽井沢風とでも言えそうな、軽井沢だからこそ生まれた新しい芸術なのです。
サイドボード 軽井沢彫り


おしぼり入れ

 今、軽井沢彫りを造り続ける方たちが、西洋のアールヌーボーのデザインを現代の軽井沢彫りの家具に表現しようと努力されているそうです。伝統を守るだけでなく、時代と共に、変化を求めてゆく、その姿勢は明治中期に軽井沢彫りを生み出した人たちの姿と重なります。そうして、いつか、新しい軽井沢彫りが見られる日を、私はとても楽しみにしています。 おしぼり入れ 軽井沢彫り

桜のスプーン

 今は、大型ホームセンターに行けば、タンスでも、テーブルでも、いろんな種類の物が安く手に入ります。けれども、安く手に入った物は、すぐにこわれたり、飽きてしまったりで、粗大ゴミの日には、たくさんの家具が使い捨てられています。軽井沢彫りは確かに値がはりますが、一生使える物です。いきなり数十万円の家具は無理にしても、手鏡、箸、茶さじ、しおりなど、手頃で小さい物でも充分に、軽井沢彫りの、美しい技を感じることができます。桜のスプーン 軽井沢彫り
 安くて使い捨てる物をたくさん持つより、一つの本物を持つことを選んだ外国人宣教師たちを見習って、あなただけのお気に入りを見つけてみるのも楽しいですね。


大阪屋家具店・店内

 軽井沢彫りを生み出した店、大阪屋家具店は、旧軽井沢銀座通りの中にあります。ここは、昭和52年に、美智子妃殿下が針箱をご注文されたことでも有名です。軽井沢彫りの美しさを堪能しに出かけてみてはいかがでしょうか? 
 定休日は毎週木曜日です。
大阪屋家具店・店内 軽井沢彫り