愛宕山・オルガンロックハイキング |
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愛宕山・オルガンロック軽井沢に住む外国人達のいこいの場だったというオルガンロック。土地の人が風琴岩と言う、山頂の柱状の玄武岩のことです。旧軽井沢の賑やかな通りから、聖パウロ教会に続く小道に入って行きますと、苔むした庭を持つ別荘や、オーブンテラスのしゃれたレストランが、ほどよい間隔で並んでいます。 軽井沢は湿気が多いせいか、見事な苔庭がたくさんあります。いい苔庭を持っているということは、軽井沢別荘族の一つのステイタスなのだそうです。苔庭がついている別荘は、それだけで100万円高くなるそうですし、軽井沢住民は、泥棒に入られることよりも、泥棒によって苔庭が踏み荒らされる事の方を恐れるのだそうです。確かに、緑色の苔が絨毯のように広がる庭は、とても品があります。 苔庭というと、日本的な感じがするものですが、そこに建っている別荘はどことなく洋風です。かといって、現代的なのではなく、明治、大正の頃に、日本人が憧れた洋風といった感じの建物。古きよき時代の日本と西洋が入り交じった雰囲気なのです。 また、カラマツやクリ、モミノキなどが多いのも、洋風な雰囲気に拍車をかけてすまね。杉、松、石灯籠なんかがあったらそれこそ日本庭園になってしまいますが、軽井沢の場合、小道の奥から、馬に乗った宣教師が出て来るんじゃないだろうか、というような空気があるのです。 別荘の片隅に、石でできた四角いもの、墓石の小さいようなものがころがっています。よく見ますと、「WENDY」と書いてあります。ここに住んでいた外国人の名前でしょうか? 墓石にしては小さいですけれど、名前の下にある「1351934」という数字が気になります。墓石にまで外国人の名前があるなんて、さすがは軽井沢、と思いつつ歩いていたところ、今度は、「鈴木家」という杭に寄りかかっている「バウムフェルト」という杭を見つけました。 昔は、境界を示す杭に所有者の名前を書いたようです。ちょっとした歴史を刻んでいるようで、おもしろい発見でした。今の杭は、プラスチックか、コンクリート製で、てっぺんに×と印がしてあるだけで、あまり面白くないですね。時々、街角で「世界が平和でありますように」と書かれた杭が立ってますが、時々、「境界を大切に」という貼り紙を見ることがあります。 世界平和を願うのは分かるとしても、境界の大切さをあえて訴えようとするのはどうして? と思っていたのですが、この杭というのは意外に重要なもので、測量をして、杭を打ってもらうだけで、30万円もかかるのだそうです。また、この杭の位置ひとつで、隣近所のもめ事が起こったりするわけなので、工事中にたまたま杭が抜けてしまったとしても、そこら辺に放り投げないで! 実は大事なんだから! という主張が「境界を大切に」には込められていたのですね。 さらに歩きますと、「鈴木」という杭と「ロード」と書かれた杭が道端に立っていました。これは、ロードさんの土地の目印なのか、はたまた、ここから道です、というメッセージなのか、謎が深まります。 細く長い階段が続きます。息を切らせつつ立ち止まりますと、新緑のあざやかさに、疲れをしばらく忘れます。階段の突き当たりに鳥居があり、鳥居をくぐりますと、オルガンロックです。柱状になった岩が、天に向かって立っています。外国人たちは、その石の様子をオルガンの鍵盤に見立てて、「オルガンロック」と呼んだのでした。そこからは、軽井沢駅に続くメインストリートが見渡せます。 観光客でひしめいている旧軽井沢も、上から見ますと、ほとんどが森に囲まれていると分かります。ツキノワグマも、ニホンリスも、ウグイスも、血統書付き高級犬を連れた奥様も、すべてを包み込んでいる軽井沢の森です。 愛宕山オルガンロックのさらに上にあります。展望は、よくはありません。 |
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