はじめに 発掘誌 文化と自然1 文化と自然2 文化と自然3 文化と自然4 風土博物館
■文化と自然2

028.産馬の業
029.浅間山溶岩樹型
030.大笹駅浅間碑
031.万座温泉事始め
032.風土博物館の構想
033.小串鉱山探訪の記
034.中居屋重兵衛
035.鹿沢温泉繁盛記
036.鬼押出しの溶岩流
037.湯の丸レンゲツツジ群落
038.盛だった村芝居
039.無量院の五輪塔
040.抜け道の碑
041.華童子げどうじの宮跡
042.歴史の道「毛無道」
043.円通殿
044.今宮白山権現のこと
045.芭蕉の句碑
046.今井東平遺跡出土の土偶
047.延命寺の碑
048.田代地区の両墓制
049.ホタルのひかり
050.『片栗粉』の商標
051.帰ってきた小仏像
052.万座温泉の『礫石経』
053.東平遺跡の敷石住居跡
054.浅間山について

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032.風土博物館の構想

 この頃はよく、不透明な時代と言われる。つい最近までの社会では、目まぐるしく推移する中でも、何か一貫した方向性を感じることができた。しかし、昨今の社会では、進むべき方向を容易に見い出すことができない。このような時期に当たっては、地域住民は自ら進むべき方向を検討し、選択しなければならない。

 俗に、「むらおこし」とされる地域振興策がある。そこで、何を選ぶかは、その地域の運命を決定することになる。したがって、この選定にあたっては、100年先を見通した大計を立てて決定されるべきであろう。

 今ここに嬬恋村の大計を策定するにあたって、そのキーワードとして”住民を主体とした生活と環境”を柱としてみよう。

 生活の中には、心豊かな生活、健康な生活、恵まれた経済生活などが入ってくる。環境の中身としては、自然環境、文化・教育環境、そして社会環境などが満たされなければならない。このような人の住むための条件を、バランスよく満たす計画として考えられるのが「風土博物館」の構想なのである。

 風土とは、辞典などによると「その土地の状態・気候・地味など」とある。しかし、ここで言う風土とは、環境と生活との関わりである。また、博物館とは、通常、建築学的に限られた一定の空間をさすが、ここに言う博物館とは、人々が生活する地域的拡がりを指すのである。

 したがって、この風土博物館構想とは、嬬恋村の人々の生活と環境との優れた関わりを、現地において保存、育成、展示することを通して、豊かな未来を創造しようとする、新しい理念による地域振興策と言えよう。

 従来、博物館と言うと、行政側で設置・運営し地域住民の参加は少なかった。これに対して本構想は、住民を主体とすることから住民参加が前提条件となる。地域住民は構想の大切な構成要素なのである。それだけに、この構想を策定するにあたっては、行政と住民とが、一体となって推進する必要があろう。